ジャン=レオン・ジェローム
《ピュグマリオンとガラテア》 1890年頃

油彩/カンヴァス 88.9×68.6cm Gift of Louis C. Raegner, 1927 / 27.200

ジャン=レオン・ジェロームはフランス19世紀後半のアカデミズム絵画を主導した画家です。この時代は、市民社会の趣味の変化が保守的なアカデミズムにも様々な影響を与え、歴史画の主題も変化していきます。教訓性や難解さは敬遠され、感傷的でロマンティックな物語が好まれるようになりました。ギリシア神話のキプロス島の王ピュグマリオンとガラテアの物語は、その好例です。自分が彫刻した女性像に恋をして苦しんだピュグマリオンが、ヴィーナスに祈ったところ、女神は願いを聞き届け、彫刻に命を吹き込みました。ジェロームは、均整のとれた美しいヌードの女性像が硬い大理石から柔らかな生身の人間に変容し、ピュグマリオンとキスを交わす一瞬をドラマティックに描出しています。