フランソワ・ブーシェ
《ヴィーナスの化粧》 1751年

油彩/カンヴァス 108.3×85.1cm Bequest of William K. Vanderbilt, 1920 / 20.155.9

18世紀フランスのロココ美術を最盛期に導いたフランソワ・ブーシェは、官能的な神話場面や田園で男女が憩う情景をパステル調の色彩で華麗に描出した絵画により、王侯貴族に絶大な人気を博し、ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人から15年以上にわたって寵愛されました。《ヴィーナスの化粧》はもともと、ポンパドゥール夫人のためにパリ近郊に建造されたベルヴュー城の「湯殿のアパルトマン」の装飾画で、《ヴィーナスの水浴》(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)と対をなしていました。可愛らしく小首を傾げて座るヴィーナスの裸身は磁器のように白く滑らかで、甘い官能性を漂わせます。キューピッドと白いハトは、ヴィーナスの伝統的なアトリビュート(象徴物)です。豪奢な布地の質感がみごとに描写され、華やかな雰囲気を強調しています。