ピーテル・クラース
《髑髏と羽根ペンのある静物》 1628年

油彩/板 24.1×35.9cm Rogers Fund, 1949 / 49.107

17世紀のオランダでは、事物や花を描く静物画が独立したジャンルとなりました。主にハールレムで活躍したピーテル・クラースは、生命や現世の富・名声のはかなさの寓意を伝える「ヴァニタス(虚栄)」の静物画を得意としました。この作品は、まさにヴァニタスの典型です。髑髏は死を意味し、その下にある本は人間の努力と叡智の蓄積を象徴します。左背景では、オイルランプの燃え尽きた芯からうっすらと煙が立ち昇っています。これは、人間が現世でなしたことは、絶えず過ぎ行く時間のなかでは、重要ではないことを暗示しています。倒れたグラスに映りこんだ窓の像や、髑髏の不ぞろいな歯並びの描写など、オランダならではの克明な写実表現も本作品の魅力です。