ヨハネス・フェルメール
《信仰の寓意》 1670-72年頃

油彩/カンヴァス 114.3×88.9cm
The Friedsam Collection, Bequest of Michael Friedsam, 1931 / 32.100.18

17世紀オランダの画家フェルメールは、オランダ市民の日常を描いた小ぶりの静謐な風俗画で有名ですが、晩年のこの作品は彼の全作品の中でも異例の寓意画です。キリストの磔刑の絵画を背にして座る女性は、「信仰」の擬人像です。胸に手を当てる仕草は心のなかの信仰を示し、地球儀を踏む動作はカトリック教会による世界の支配を示唆するものと解釈されます。十字架、杯、ミサ典書が載ったテーブルは聖餐式を暗示します。床には原罪を表すリンゴと、キリストの隠喩である教会の「隅の親石」に押しつぶされた蛇が見いだされます。プロテスタントを公認宗教としたオランダ共和国では、カトリック教徒は公の場での礼拝を禁じられましたが、「隠れ教会」と呼ばれる家の中の教会でミサや集会を行うことは容認されていました。ここに描かれた部屋は、こうした教会なのかもしれません。フェルメールはおそらく1653年の結婚を機にカトリックに改宗しています。