ニコラ・プッサン
《足の不自由な男を癒す聖ペテロと聖ヨハネ》 1655年

油彩/カンヴァス 125.7×165.1cm Marquand Fund, 1924 / 24.45.2

ニコラ・プッサンは、17世紀の美術の中心地であったローマで活動しながらも、フランスの古典主義絵画の礎を築いた画家です。古代美術とラファエロを手本として、物語場面を理知的に構築したプッサンの歴史画は、フランス王立彫刻絵画アカデミーで模範とされ、フランス美術の展開に決定的な影響を与えました。彼の古典主義様式の典型といえるこの作品には、エルサレムの神殿の入口で、キリストの弟子の聖ペテロと聖ヨハネが足の不自由な物乞いの男を癒す奇跡の場面が描かれています。プッサンは、階段や柱など水平・垂直を強調する建築要素を巧みに用いて整然とした空間を構成し、多数の登場人物を三角形に配置しました。その頂点に位置するのが、聖ペテロ(右)と聖ヨハネ(左)です。各人物の衣服には、赤と緑、黄色と青など、互いに引き立てあう色がバランスよく用いられています。